人を動かす言葉
硬い米が嫌いだ。
食べるとえずくし、ひどい時は本当に吐く。
硬い米を食べるのが嫌で吐いたらお残しも許されるだろう。
そう思って子供のころにオエオエやりながら食べていたら本当に吐くようになった。
30過ぎた今でも吐きそう。
そんな理由から、硬くなりやすい炊飯器の早炊きが嫌いだ。
なのだが、我が家ではいつも早炊き。
普通に炊いたほうがうまい、早炊きだと工程が抜けてまずくなる、硬い米は食わない、などなど主張したり実際に食わなかったりしたのだが、それでも早炊き。
毎日ではないが、何年間も早炊きやめてくれと言ってるのに変わらない。
一度、勝手に早炊きから設定変更したが、次の日からは何事もなかったように早炊きに戻っていた。
そんなこんなでここ2,3年は何も言わなかったのだが、ふとあることを思いついた。
念のため、ググって確認もとる。想定通り。
買い物から帰ってきた母。私がいることに気づくと炊飯器のボタンを押した、その時。
「早炊きにすると電気代って1.5倍になるらしいよ」
「へー、ほー、ふーん。 普通に炊こうか?」
早炊きを始めている炊飯器、それをわざわざ止めて[極うま]に設定変更。
人を動かすには言葉を羅列するだけではだめだ。相手が何を気にしているか、それを見極めなければ。
金の力は偉大だな、そう思いながら硬くない飯を食う。
うまかった。我が家にきて3年ほど経つ彼。
黒光りした早いだけのやつだと思っていたが、こんな能力を隠していたんだな。
それが昨日。
今日の飯の準備が進んでいる。
冷蔵庫にネギまが入っているが、使われるのが2,3日後とかざらにある我が家。
黒い彼の設定はなぜか早炊きに戻っていた。
どうすればいいんでしょうね。